起き抜けにコンタクトを入れ鏡を見ると、今日も肌の機嫌が良いようでほっとする。私史上初の本気食事改善がまんまと波に乗り、ベースが整備されているからか全てのスキンケア用品たちが一斉に本気を出し始めた感じがする。
寝室の掃除をしながらそういえばと6月に漬けた梅酒のことを思い出し、大事に静養させておいたクローゼットをゴソゴソしながら大きい人と小さい人に「そろそろブランデーの方の梅酒出したいねー!」と声をかける。梅酒を漬けたのは3回目で、1回目と2回目は素晴らしい梅のおかげでそれはそれはおいしいお酒になったのだけれど、私の漬け方がやっぱり雑でほとんどの梅がしわしわになってしまった。それでも味ははるかに美味で大きい人と最後の1粒まで有り難くいただいたのだが、今度こそ見目麗しい梅に育てあげたいとメラメラ企て、完成度80%くらいのところまでくると「丁寧な」仕事を放棄しがちな私も、砂糖を全体に行き渡らせるための優しく揺り動かすという愛で作業を、最初1〜2週間はやり切った。今回は3kgの梅を3つに分けて、2つはホワイトリカー、1つはブランデーで漬け、砂糖の量は全部一般量より少なめに設定し、梅はおしり部分に爪楊枝でぷすぷす穴を開けた組と、穴を開けずに凍らせた組とで仕上がりを見比べることにした。3つの瓶をぞろぞろと引きずり出してみると、3つともほぼしわのないふっくらとした梅たちがじっとしており、「しわない!しわない!しわないよ!」と3人で密度高めに喜ぶ。美しく成熟した娘たちが無事帰還してくれてお母ちゃん嬉しい。まずはブランデーの梅酒をいただこうということでキッチンに転居させると、薄暗い寝室ではよくわからなかったのだが穴を開けた部分が酸化なのか黒色付いており、小さい人は「ちょっと気持ち悪いね」と脇腹ストレートを繰り出してきて、さっきのみっちりとした歓喜がじわじわ引いていく。「次は穴開ける方法じゃなくて凍らせる方法がいいかもね」と相方の大きい人が冷静に総括し完璧に締めくくった。
メイクに励んでいると、隣で大きい人が「目乾くなあ」とコンタクトに手を焼いていたから、そういえば神宝塩の効果効能にドライアイが入っていたはずだとキッチンに召集し、同梱されていた説明書を渡す。「ほんとだほんとだ!やっぱいい物なんだよなあ」と、神宝塩開発者・工藤さんの熱く切実な取り組みを目の当たりにして、いよいよ神宝塩に対して関心が最高潮になったらしかった。「ところで、神宝塩はどうする?」と、使いやすさは丹後の絹塩だろうからこれ1本を番人として配置してもいいがどうする?ということのようだ。昨日舐め比べ大会をして味も感想も共有しあったが、食べやすさは絹塩に軍配が上がったし、料理に気兼ねなく使えるのも絹塩な気がして、そうなると神宝塩の使いどころがちょっと定まらないか。とはいえ、何がどう作用してくるのかは誰にもわからないのだから続けてみて探りたいし、なにしろ素焼き大豆がポップコーンに早変わりするという点だけでももう絶対に続けたい。「神宝塩もレギュラーにしようよ!」と、目と言葉尻に嬉々を詰め込んだ迫力でもって訴えると「じゃあ続けてみよう」と話がまとまる。神宝塩に関しては1日10〜30g摂っていいということで、「10gくらいは仕事をしながらちょこちょこ舐めようかな」という大きい人と一緒にキッチンスケールで量と重さを調べてみると、小さいスプーン1杯2.5gで予想を越えたもりもり感だったから「10g全然無理だね…」と2人で声を揃えはにかんだ。大きい人々の試行錯誤に紛れ込み、小さい人が「ちょっと舐めていい?」と遠慮がちに聞くので、「いいよ」と返すと照れながらぺろりとして「…たまごみたい!」とはしゃいで言った。
それはそうと、今日はバスに乗って芝生のパークに行き体を動かす予定だから急いでやるべきことを終わらせねばとそれぞれが動き出す。私は1人ルーティンの運動を終えて時計を見るとちょいちょいちょい…!というレベル感の時間になっていたから、汗を拭いてちゃっちゃと着替え髪を整える。整えながら、もしも我が家の小さい人がいつか多くの人の役に立つような偉業を成したとして、生みの親へ「どんなことを大切に子育てをしてきましたか?」というインタビューを受けた時なんて答えるだろうとふと考える。私は、入浴中や洗面所で身支度をしている時、急に架空の状況を思いついてはどう回答するかというのをぐるぐる考えたりすることがあって、現実切羽詰まっている状況だけれど、「2歳3歳のうちから、良く生きるために必要なことは、まだ理解できるような内容じゃなくても丁寧に伝えるようにしてきました」と答えるかなと一旦うなずく。どんな状況であっても小さい人の味方でいる、ということ以外に育てる者としての定めがちゃんとあるわけではないから、相方の大きい人は何と答えるだろうとむずむずして、絶対「今じゃない」という局面だけれど「ねーねー!」と尋ねに行く。すると、「ん〜…自分で決めることかな」と、経験者の重みをまとった回答がスッと返ってきた。つまるところ、良い面悪い面は伝えつつ最終どうするかは自分で決めてもらう、ちゃんと納得感を持って生きてもらうことという話で、うおっ…!それもあったか…!と、めちゃめちゃ良い回答をもらえて嬉しい。「その時が来たらちゃんと話せるようにしとかなきゃね」と締め、もう出発まで10分!なぜ今!という雰囲気がびゃーびゃーだったけれど、私は今話さなければ次の瞬間綺麗さっぱり忘れてしまう人間だ。おのおの持てる力を出し切りバスには間に合った。
昼間はお出かけをたっぷり楽しみ、夜は小さい人が寝てからリビングでめいめい作業を進め、そろそろ我々も寝る段かなくらいのタイミングで目が覚めてしまった小さい人も合流しおしゃべりタイムとなった。相方の大きい人は、最近これから自分は何をどうやって世に伝え、生きていくのかということを真剣に考えているようで、「大きい波が見えてるんだからビビらず一気に立って乗らないと」と、たった2回のサーフィン経験から得た学びを交えながら熱弁してくれる。総じて身の投じ方がすごいなと、どちらかと言うとぼやぼや生きている私は毎度驚嘆させられる。こういう話を小さい人も普通に聴いて、なんなら「それってこういうこと?」と理解者の顔で参戦してくるから、あっ「両親が話す話をさんざん聴いていること」も、子育てで結果的に活きたことだなと、回答の幅を見つけられてよしよしと思う。図らずも家族会議になって、だけど最終的には小さい人と大きいドラえもんが「ドラえもん!」「なあに?」「1+29 は?」「ぼくが答えるの?」「うん言って!」「…30」というやり取りをして解散となった。人生の大波は我が家のドラえもんに預け、「明日はみんなでお寝坊しようね」と団結して寝た。
1/10 (土) 急に架空の状況を思いついてはどう回答するかというのをぐるぐる考えたりする。

