街へ出かけるため、小さい人と歩いていると、遠くに自転車男子。左から横断歩道をつつーっと渡り、左折。その時。そこに並んでいた5〜6台の自転車が、まるでスローモーションのようにドミノ。曲がる角度が急だったのか、前輪が、停まっていた自転車の後輪にぶつかって倒れたようだった。幸い、その男子はお散走のような雰囲気で、ゆるゆると走り、かなり優しくトンッと当たったから、激しい音もしなかった。倒れ方から見ても、自転車たちは無傷だろう。歩きながら様子を見ていると、その男子は、しばらく止まって、倒れた自転車たちを眺めていた。こちらからは後ろ姿しか見えていないけれど、もしかしたら渋っているのかもしれないと、思った。
私は高校生の時、ドミノ倒し経験者になった。駅の駐輪場で、狭い隙間に無理やりねじ込もうとして、華麗にやった。近くで誰かが見ていたとかはなかったはずだけれど、無力に倒れざまを見つめ、まるで自転車たちに弄ばれているような図に、カァッと恥ずかしかった記憶がある。それと同時に、自業自得を棚に上げ、面倒なことになったと項垂れる自分も、いた。この男子も、その類の感情に四苦八苦させられているな…?
すると、ふっと魂でも戻ってきたかのように自転車を降り、1つ1つ元に戻していく。そして、「よし」みたいな振る舞いの後、颯爽と、背中しか見えていなかったけれど、ご機嫌な様子で走り去っていった。
正直、そのまま何事もなかったかのように、見て見ぬふりで行ってしまうのかと思っていた。駐輪場ではあるのだろうが、歩道の端っこに寄せて停めてあるといった雰囲気だし、むしろこの場所に停めておく方がどうなんだ?と思うような状況だった。私なら、こんなところに停めておかないでくれ!という感情になって、きっと、もっと苛立ちが滲み出る対応をしてしまったかもしれない。でも、その男子は、穏やかに自転車を見つめ、当たり前に倒したことの責任を取り、むしろるんるんと、晴れやかにその場を後にした。思春期の男子という偏見をやすやすと持ち出した自分を、恥じる。
隣で楽しそうに歩く小さい人を横目に、なんかいいもの見たぞと、上機嫌になる自分がいた。
9/20 (日) 思春期の男子という偏見。

