6時過ぎ。小さい人は起きるなり、「今日こそリビングの床拭きしたいね」と、やる気。
実は昨日、思いがけず、早すぎる年末大掃除に着手することになった我が家。「やろうね」と言っていて、やり切れなかったのがリビングの床の雑巾がけだったのだ。
もともと掃除dayにする予定ではいたのだけれど、どこを掃除するかまでは決まっていなかった。思案した結果、「食器を整理できたら嬉しい」という気持ちに背中を押され、食器棚を綺麗にすることが決まった。小さい人も、「てぃのちゃんが赤ちゃんの頃に使ってたお皿とか、もういらないもんね」と、太鼓判を押してくれた。中身を全部取り出すなら、ガラスの引き戸もちゃんと外して拭きたいし、側面にぶら下がっているちいかわマスコットも外して、拭いて、並べ直したい。備え付けの食器棚がない我が家は、背の高い、少しデザイン味のある食器棚を冷蔵庫の隣に設置しているのだけれど、側面が板ではなく、細いはしごのようになっている。そこに、S字フックでちいかわたちのキーホルダーを飾っており、30人弱いるから気合いが入った時でないとなかなか綺麗にできない。
そういうわけで食器棚大掃除が決まったのだけれど、ふと、この掃除はもう、今年を締める大掃除にして良いのではないか?という気持ちが、湧いた。大きい人には、「は、早いね…!」と驚かれたし、去年は11月に入ってから取り掛かったから、早いのは真実だ。でも、11月にやるものを10月にやったからって、何が変わるだろう。せいぜい、誰かの靴下に穴がひとつ増えるくらいのもんではないか。やってしまおう。
まずは、白い画用紙とマジックを取り出し、年末大掃除リストを作る。12月末までに、力を入れて掃除したいところを書き出すと、36こあがった。これを、2ヶ月ちょっとでちょこちょこつぶしていく。去年は28こを1ヶ月半でこなしたから、バランスとしては同じくらいだろう。それで昨日は、食器棚と私の本棚、サーキュレーターをまるごと掃除した。予定通り不要なお皿を選別できて、なんかかわいくてちいさいものどもも、かわいくポジションが定まった。
小さい人は、「ほら、終わったんだから線書きなよ」と、リストにチェックを入れることに胸を踊らせ、掃除中はずっと、「たーのしーい!」と、6歳にして家政婦を職業にしていた。「家中の床拭きは、年末まで何度かしなければならないから今日は線を書けないけれど、それでもいいか」と聞くと、「確かに、床は毎日汚れるもんね。でもいいよ!拭きたい!」と熱量がすごくて、廊下と寝室だけ拭いた。どうやら、リビングを拭けなかったのが心残りだったらしい。それにしても、起き抜けで言うほどだとは。賛成してあげたかったけれど、平日は時間にゆとりがないし、小さい人も社会に務めて帰ってきたら疲れている。「お休みの日にやろうね」と、明るくいなした。
さて、朝ごはんを用意しようとキッチンのコンロを見ると、シルバーの鍋がどっしり構えている。「え?」一瞬で昨晩の記憶が蘇り、はっとした。昨日の夜ごはんはおでんにするべく、夕方からコトコト煮てしみっしみの大根にありつこうと思ったら、祝日の3人衆は頭を抱えながらマックに流れた。「もう少し冷めるまで置いとこー」そうふたを閉めたのが最後。ぞっとして、でも匂いを嗅ぐとちゃんとおでんだったから、「大丈夫じゃん」と冷蔵庫に移動させる。それでも、珍しくざわざわと気が淀んでいたから、念のためChatGPTに聞いた。すると、「今回は残念ですが、食べずに処分することをおすすめします」と、言い淀むことなくぶった斬ってきた。常温で一晩は食中毒のリスクがあること。なにしろ、煮汁が多いおでんはそもそも傷みやすい料理であること。これから冷蔵庫に入れても、すでに増えた菌のリスクは解消できないこと。少しでもいけると思った自分が恥ずかしくなるくらい、食べちゃいけない理由しかなかった。
大きい人と小さい人に、報告に行く。「残念なお知らせがあります」としょんぼりすると、「なになに?」と、2人とも明るいけれど、真剣な顔。「昨日作ったおでんを冷蔵庫に入れ忘れちゃって、食べられなくなりました」「ええーーー!?たまご食べたかったあーー」小さい人は、露骨に残念がり、涙を溜めた。「それはしょうがないね。そういうこともあるよね」大きい人は、菩薩顔で受け入れる。
「また作るからね」そう言い残してキッチンに戻ると、冷蔵庫で十分に眠り、今日食べてもらうはずだったおでんが、悲しげに浮かんでいる。見た目も匂いも昨日と変わらないのに、「食べられる物」から「食べられない物」へと変わってしまったおでん。健康には変えられないと頭ではわかっていても、気持ちは食べたい。もったいない。
「ごめんなさい!」と、神様に奉納した。
10/13 (火) せいぜい、誰かの靴下に穴がひとつ増えるくらいのもんではないか。

