アラームの音と、少し開いたカーテンからこぼれる光で起動。昨夜、年輪を重ねた人々と締めのスイーツ会をして、寝たのは午前様だったけれど、案外体は重くない。
4時半。勝負の日が始まる。普段早寝の小さい人は、テンションは高いがぼんやりしている模様。そこへ、潔く投下。
「恐ろしいこと言うよ?シーに入れるのは9時なんだけど、並ぶのは7時」
「えぇっっ!?」
「なんと、2時間並びます」
「に、にじかんっ!?」
さすがに、怖気付いたか。と、思ったら。
「…でも、なんじゃこっちゃ話してたらすぐ過ぎるよ」
強い。明るさが、宮本武蔵くらい強い。
アナとエルサのフローズンジャーニーと、トイ・ストーリー・マニア!のDPAを勝ち取るため、今日は闘う。刀を抜く覚悟で顔パックをしていると、「そんなに綺麗に付けられる人、人類にいるん?」と、大きい人に甘やかされる。今日も、パックの貼り方に称賛される私。
昨日以上のUV対策をして、リーナ・ベルとステラ・ルーを連れる。ジュビリーブルーのバルーンは、お留守番。部屋のドアを閉めると同時に、まだ眠っているだろうねんりんずへ、小さく「行ってきまーす」とささやく。そちらも、いい旅を…!
タクシーで、7時10分にシー着。すでにめちゃめちゃ列がすごいけれど、それでも入口は見えているから早い方だろう。見ると、ディズニー攻略集団が多く、シートを敷いて座り、日傘を差してスマホ。中には、折りたたみのミニチェアを使っている方々もいて、恐れ入る。賭け方が、赤ん坊と井上尚弥くらい、違う。絶対にお尻が痛くなるだろうが、周りがみんな座っているので我々も座る。この時間でも、暑さは一切妥協がなく、ハンディファンも根をあげそうな雰囲気。とはいえ、なるべく体力を温存したいから、びゅんびゅん回す。
8時を過ぎると、小さい人は、「暑いねぇ。まだかなあ」とよれよれし始めたが、大きい人が持参していた塩飴できっちり回復。状況によっては、開園が早まることもあるとの情報をキャッチし、3人で励まし合う。もう少し、もう少し。
8時45分。キャストのカウントダウンが聞こえ、祝!開園。辛抱と希望が、実を結んだ。長い長い待ち時間を、よくぞ耐えてくれた。小学生目前の小さい人は、もう大人と変わらないくらい辛抱強かった。
手荷物検査と入園のピッ!を、30分弱で終え、勇み足で、行く。本日最初の旅程は、ダッフィーとの撮影。ロストリバーデルタへ向かう。大きい人は、ひとまずアナ雪のDPAを取得。お昼前に、アナとエルサに会えることが確定した。今回の旅、これが成し遂げたいリストの1つだった。なんせ、3年前はまだなかったのだから。大きい人に礼を言いつつ、気持ちはもうダッフィー。
サルードス・アミーゴス!グリーティングドックに着くと、何組かが並んでおり、みんな髪を整えたりメイクを直したりしている。調べの通り、開園後すぐなら、サッと入れるらしい。急にダッフィーの存在が生々しくなって、ドキドキが速い。私も初めてだから、小さい人とジタバタする。
「どんな感じかなあ?ほんとに会えたらどうするぅー?えぇぇぇーー順番来るよー!」
セルフの盛り上げ術が、すごい。
前の人が入ったと同時に、キャストの人に、「3人で入るけど、撮るのは子ども1人で」と伝える。すると、「せっかくなので、3人でも撮りましょうか」と提案していただき、お言葉に甘える。どうしようどうしよう。もうそこに、いるんだ。チラッと、茶色のもふもふが見える。
「うわあぁぁぁーーダッフィーいるよ!」
もう誰にも、彼女を止められない。
いよいよ。「お待たせしました〜!」の声と共に、ダッフィーと、ご対面。会った瞬間に、めちゃめちゃテンションが上がる小さい人。「かわいいぃぃぃぃ」
まんまるのお腹に抱きついて、トトロのメイちゃんみたい。私と大きい人も、ぎゅっとハグ。本当に、ダッフィーなんだ…!
打ち合わせ通り、小さい人はダッフィーのお腹にもふっとしがみつき、はいチーズ。3枚ほど、スマホに収めた。
次は3人揃って、パシャ。「ありがとう〜!かわいい〜!」と、ダッフィーを賑やかして、バイバイした。
そろそろ、アナ雪のDPAを取ってから1時間になる。2つめの目玉、トイストーリーマニアのDPAも、夕方の時間で取った。順調すぎて、ファンタジースプリングスに向かうにはまだ早いから、隣のマーメイドラグーンへ。「また乗りたい!」とはしゃぐ小さい人と一緒に、フライングフィッシュコースター。なんと、5分待ち。ほぼ貸切じゃん。待ちの道をだーっと走って、あっという間に乗車。小さい人と私、また先頭。
「きゃあぁぁぁぁぁー!」「ぎやあぁぁぁぁぁー!」
昨日よりもまたレベルアップした叫びを轟かせ、シューン…と帰還。
「おかえりなさーい!」と手を振るキャストの人に、「また来るね!」ときゃぴきゃぴする小さい人。出口を抜け、そのまま駆け足でイン。本当に、また来た人々。早い。大きい人に前に乗ってもらい、小さい人と私、今度は最後尾。景色の迫り方はやや優しくなるも、初めて、大きい人のはしゃぎようを特等席で見れた。3人して、楽しみ方に手加減なし。2連続のコースターも、1回目みたいなテンションで乗り仰せた。
さて、いよいよ、初めましてのファンタジースプリングスへ。アラビアンコーストが見えてきたと思ったら、急に左へ拓けた世界。昨日は気付かなかったけれど、ここから、何かが始まりそうな気配が漂っている。人も、緑も、あからさまに多い。おとぎ話に出てくる、伝説の泉へでも連れて行かれるような気分。と、すぐさま、眼前に飛び込んできた。エルサと、アナ。これは、ロックアートとでも言うのだろうか。そびえ立つ岩岩に溶け込むように、彼女たちは、いた。ひっそりと、とてもダイナミックに。
「ねんりんずにも見せたかったなあ…」
大きい人と一緒に、圧倒されながら悔やむ。こんなにすごいところだったとは。せめてと、この世界観をぐるーっと動画に収めた。エルサとアナと一緒に、小さい人とはいチーズ。
左側の道へとずんずん進むと、ノースマウンテンと、その向こうに氷のお城が見えてきた。なんだろう、遠近が、すごい。山肌の造形が、ぶったまげるほどリアルで、自分の足元がもはやよろめきそうなくらい。終始、口が開きっぱなしだった。ここはもう、「アナと雪の女王」の世界だった。
フローズンジャーニーに乗るまでに、まずはオラフを仲間にせねば。ファンタジースプリングス・ギフトへと向かう。ここでしか買えないものも多いから、お友だちのお土産も大方揃えたい。
大きい人には荷物番を頼み、女子2人で行く。Mサイズくらいのオラフ集団を見つけ、小さい人は、吟味してかわいいお顔を厳選。ステラ・ルーやリーナ・ベルよりも少し大きい。抱っこし甲斐があるぞ。カゴの半分を陣取って、次はばらまきお菓子を選ぶ。小さい人のお友だちやその兄弟、6人分は詰め合わせセットを作らなければならない。たくさん入っていそうなクッキーやぷっちょ、じゃがりこを連れ、その中でも仲のいい女子たちにはボールペンも選んだ。GWにすでにシーもランドも制覇した女子2人には、この7月に発売になったばかりのダッフィー&フレンズのリングを真剣に選りすぐる。どの子が好きかは存じ上げていないけれど、オル・メル以外で、どうかひとつ。
「てぃのちゃんもなんかほーしーいー」
歩き疲れもあって小さい人はややむくれてきたから、一緒にアナ雪のキーホルダーの前で、買うこと前提で議論する。
「てぃのちゃんはエルサだよね?」
「えーアナがいいなあー」
「てぃのちゃんはエルサが好きじゃん。まいたけちゃんはアナが好きだもん」
「えーでもさ、このアナかわいいもん」
「えーじゃあどうする?」
お互い一歩も引かぬ攻防の末、「たまにアナを貸してあげる」という条件で、小さい人はエルサを飲んでくれた。大人げなさが全開だけれど、私はどうしてもアナがいい。向こう見ずに突っ走るアナの元気さは、どこか自分にも重なるのだ。
連れるお供をオラフにバトンタッチして、いよいよフローズンジャーニーへ。あまりに並んでいるから、その横をススーっと進むことに、少し申し訳なさがある。DPAを取るために我々も十分並んだのだから、そこまで罪悪感を持つこともないのだが、通常ルートを無視した図が堂々として、胸がちょっときゅっとする。課金がもの言う世界。いつの間にか、夢の国にも現実が素知らぬ顔で流れ込んでいる。
15分後。ボートに乗り込む。いよいよ、会える。何度も観て、歌って、台詞も覚えた。あの世界が、今ここに。小さい人と、幼少期のアナとエルサに大興奮。けれど、どんどんストーリーは流れていく。ボートは、前へ進むだけじゃない。後ろへ、横へ。想定外だけをじゃんじゃん盛り込んでくる。しっかりわあわあしながら、アナたちの滑らかすぎる動きにはひいひいしながら、「すごいねすごいね」と、3人で静かに盛り上がった。
ぎゅぎゅっと詰まった約6分半の旅を終え、「おかえりなさーい」と出迎えられたその時に、ようやく夢から抜け出せた。がっつりと、つかまれた。
「ねんりんずも乗せてあげたかったね」
大きい人と、これが昨日だったらと寂しくなりながらも、このクオリティは全人類が乗りたがるのもわかる …と、力強くうなずく。私は、下り坂をあんなにじゃぶんじゃぶん揺れていたのに、水がほぼかかっていないことに度肝を抜かれた。しっかり波が逃げるように設計された造りなのだろうが、乗船者のためにきっと何百回もテストしたのだろうと思うと、なんだか胸が熱くなった。
さて、お腹が空いたので、まずはオーケンのフッフーブレッドにありつく。細長いミートパンみたいな風貌で、トマトベースの甘いソースがたまらない。小さい人は、パンの部分に心をつかまれていた。
暑さで体力も使ったし、まだまだお腹も空いている。ルックアウト・クックアウトで、ちゃんと食事。ラッキーなことに、4人席がするっと取れたので、容赦なく確保する。シェイブアイス、ピクシーダストソーダ、スモークチキンレッグ。チキンがあまりにおいしくて、早々にアンコール。すると、「これもおいしそうだよ」と、大きい人がロストキッズスナックボックスを勧めてくる。チキンやフリッター、バナナチップス、シュリンプチップスが詰まった、海のいいとこ取りボックス。すぐに、決めた。3人の手がびゅんびゅん伸び、あっという間に泳ぎ切った。
さてさて、次は海賊船。ファンタジースプリングス序盤から、小さい人が「あの船乗りたい」と、熱い眼差しを向けていた。どうやら、フック船長のジョリー・ロジャー号らしい。自由に乗り込めるらしく、大小の人々が行き来している。お日さまはフルパワーで照らしてくるけれど、乗りたいものには乗ろうぞ。
私は船の1階部分で撮影係。小さい人と大きい人は、階段を登って、ジョリー・ロジャー号の舵を取る。下から見上げるジョリー・ロジャー号は、思っていた以上に大きかった。
2人は1階に降り、小さい人に、「フック船長になれるよ!」と、机の上にある鉤爪に左手を入れるよう促す。小さい人は、ピーターパンをちゃんと観たことがない。暑さとわからなさで苦いショットが撮れた。
そろそろチュロスが食べたいぞと、欲が見え隠れしてきたところで、ファンタジースプリングスを後にする。それでも、オラフだけは一緒に連れて帰る。
次は、マーメイドラグーンへ。アリエルのプレイグラウンドに、小さい人を連れて行く。の、前に、昨日お気に入りになったトルティーヤサンドを、また呼ぶ。今日は、フレンチフライポテトも側近にして。やっぱり、最高においしい。3人とも同じ熱量で、爆速にパクつく。この旅で、チリビーンズが私の「好きな食べ物」として、地底から浮上してきたらしい。
満足の顔を並べ、とうとうプレイグラウンド。「自由に入って遊んでいいんだって!」と伝えると、「えぇー!?いいのー!?」と、目を輝かせている。「アリエルの世界観でアスレチックをつくって」、とオーダーしたような造りになっており、小さい人は本当に自由に遊んだ。途中、小さい人があごを負傷するという思いもよらぬハプニングが起きたし、密かに狙っていたカプセルトイに2日間そっぽを向かれ続けた。それでも、総合的には最高のマーメイドだった。
さて、まだ叶えられていないチュロス沼の旅に、出る。17時からトイ・ストーリー・マニア!だから、その前に絶対に食べるんだ。昨日は行列のあまり泣く泣くあきらめたけれど、今日はモバイルオーダーで確保する。
アメリカンウォーターフロント辺りを散歩しながら、クッキー&クリーム味のミッキーチュロスと、大きい人が勧めてくれた牛カルビと韓国のりの冷やし麺をオーダー。何度目の食事かなんて、もはや浮かびもしない。1日中活動しているのだから、1日中食べたっていい。
練り歩いている最中、遠くに人だかりを見つける。リスの、女の子。ディズニーに疎い私は存じ上げなかったけれど、「クラリスだ!」「クラリスクラリス!」という盛り上がりで、知った。小さい人も知らなかっただろうが、目の前にいたら飛びつかない選択肢などない。しっかり2ショットの機会をつかみ、クラリスに肩を抱かれるてぃのちゃんを激写。何者かもよく知らないまま、最高の1枚を手に入れた。
そろそろ、彼らを迎え入れる時間。ドックサイドダイナーに、行く。満席だったので、スタンディングのテーブルへ。見ると、誰も彼も冷やし麺を食べている。むしろ、チュロスの民はいない。洋食レストランが軒を連ねる中、韓国系のさっぱり麺はきっとレアキャラだ。暑いし、冷たいものをずずーっといきたい気持ちはめちゃめちゃわかる。ひとくち食べて、確信した。これは、チュロスを、間違いなく越える。カルビの甘辛さとナムルの酸っぱさが、両手を組むみたいにガチッとはまっており、それに加え冷やし麺の清々しさ。勝てるわけがない。3人とも、興奮と喜びを流し込んで、これは2杯、いきたかった。切実に。
さて、昨日から燃やしていたチュロス熱。いざ。ココア色が、待ち侘びていたように深く光る。小さい人は、にんまりとくわえ、カリッ。おでこがなくなりそうなくらい眉を上げて、「おーいしいぃぃぃぃ」。私も、大きめに、カリッ。クリームとココアが、想像よりも控えめな甘さで迫ってきて、こんなのもう、1人で3本くらい食べていいやつじゃん。冷やし麺と大差がつくかと思いきや、こちらもしっかり爪痕を残してきて、さっきの思いを反省。
2本を3人で仲良くいただいて、さあトイ・ストーリー・マニア!!2台に分かれて、おのおの撃ちまくる。昔から有名なアトラクションなのに、大きい人も私も初めて。なるべく点数が高いものを狙いつつ、でも連射は止めない。後半、右腕がほぼ死んでいたけれど、お皿をガッシャンガッシャン割るのが楽しすぎて、知らぬ間に蘇生。
降りて、2人の点数を聞くと、小さい人が思いの外すごい。スコア37,400点。大きい人は、84,200点。私はというと、112,000点。おお、結構いった気はしていたけれど、大きい人を上回ったのは嬉しい。大きい人は基本何でも上手い。なかなか越えられることって、ない。嬉しい。ただ、ヒット率はすごかった。小さい人と私が37%、38%なのに対して、92%。いや、もうスナイパーやん。狙い撃ちされた彼らはきっと、あまりの突き抜かれ方に、倒れた後もぞっとしたんではなかろうか。
さて、レストランは19時の予約だから、まだ時間がある。ロストリバーデルタに、シナモン味のミッキーチュロスを食べに行く。なんせ、私はシナモンが大好きだ。これを食べるためにシーに来たと言っても過言じゃない。アメリカンウォーターフロントからはちょっと遠いけれど、足はずんずん進む。じゃりじゃりの、シュガードレスを着たスレンダーな彼女。ザク…。もうぅぅぅーこれこれ。口の中に入っても、砂糖が簡単に溶けていかない。チュロスとの社交ダンスを最後の最後まで踊り切って、胃に落ちていく。絶頂の時。小さい人は、自分の分け前があるにも関わらず、大人の分までもらおうとして急に早食いを始め、怒られた。早く食べ終えて、それもちょうだいの魂胆。ふう。今日は、ずっと食べている。腹が減っているはずがない。のに、そこまで欲を表に燃やすあたり。やはり今生の前に、何かあったか。夢の国であっても、動物的な食欲にはちゃんと待ったをかけた。
スッと乗れそうだったので、シー入り口辺りまで船で戻り、夕食の時間まで、買い切れていないお土産たちを探す。自分家用にも、クッキーとか。すると、待機中の大きい人から電話が入り、「近くのカフェ・ポルトフィーノが今なら入れそうだよ」と、連絡が来る。普段から、夕食は早めに食べたい我が家だから探してくれたらしい。確かに、これからポートディスカバリーのホライズンベイ・レストランまで行くのも、ちょっとしんどい。満場一致で会場変更。タコのフリットとシーフードサラダ、冷静シーフードパスタ、ローストチキンに、白ワイン。小さい人は、ミッキー型のケチャップライスが主役のお子様セット。夕空を少し越えたセンター・オブ・ジ・アースを眺めながら、陽気に、まだまだ食べる。
「こっちにしてよかったね」
最高すぎて、この2日間がしっかり締まった。
ショーはというと、なんと途中で機械の不具合が起こり、残り10分ほど残して中止になった。そんな結末が、ある。「えぇぇぇ!?」の悲鳴を聞きながら、いち早くタクシーをつかまえるべくダッシュ。非日常の中にいても、日常がたやすく手綱を握る我が家。
それにしても、ねんりんずは、ちゃんと広島に帰れただろうか。金魚は、元気だったか?
シー2日間の旅を、5人で、結んだ。
7/10 (金) ディズニシー2日目。そんな結末が、ある。

