11時半。今日は、小さい人の社会が半日で閉店。ものの2時間で、巻き取る。
朝お母さんたちとも、「2時間じゃ何にもできないから、ぼーっとしとこ〜」と話したのだが、何かするには短い。かといって、何もしないには長い。
結局、グリーンのお世話と書き物を少し。この、「何かできそうでできない」「何もできなそうでできる」の狭間で選ばれし者は、生活を支える権を持っていると思う。派手な成果は出ない。でも、暮らしの土台はだいたいこういう時間に作られている。
帰りがてら、近所のパン屋さんに寄る。こういう日は、大抵小麦に手招きされる2人。明日は運動会。気持ちを浮かせて、好きなパンを選ぶ。小さい人は大葉とベーコンのエピ、私は明太フランスと、カンパーニュの塩パン。ごはんの時のパンに、我々は甘えない。主食の座を狙うなら、ちゃんと塩気で勝負したい。
帰宅。「野菜も食べないとね」と、小さい人は食の基本に忠実だから、大根おろしを施す。MEGUMIが毎日食べているというので、我が家の食卓にも最近、大根おろしが降臨中。文明の利器にぼやぼやとし、四苦八苦している私を見て、最近、相方の大きい人が大根おろし器を厳選してくれた。電動も考えたけれど、片付けの楽さもゆずれなくて、結局手動の、金網で、器がズレにくいやつ。
いよいよ、初めて、おろす。まず、プラスチック製との差に、ぎゃんっと突き刺された。大根の高さが、秒で低くなった。あまりの速さに、爪までやっちゃいそうになるくらいでたじろぐ。もう少し上から圧をかけてみようと、つま先立ちでやってみると、またさらに速い。電車と新幹線くらいの差はある。おろし器の使い方に、面でおろすと細かく、ふちでおろすと粗くなるとあったから、半信半疑でふちをずりずりずり。大根は、みるみる姿を消す。1/4の長さの大根が、ものの3分で、いなくなった。
息をのんで、金網を外す。そこに登場したのは、いつかの居酒屋で、だし巻き卵に仕えていたあの、粒がシャキッとした粗い大根おろしだった。汁は残らず下の器に引っ越していたから、大根の身だけが、活発に佇んでいる。とろとろの大根おろしも大好きだけれど、私は大根みを感じたいタイプだから、この革命には足をばたつかせた。小さい人も、「うわあ〜〜!」と、まるでサンタからのプレゼントでも開けたかのような喜びよう。大根よりも活き活きしていた。
小鉢に盛って、「汁も栄養あるからね〜」と注いで、食卓へ。食前に食べると消化にいいということで、まず、おろしさま。ふたくち食べて、同時に、「か、からい」
実は、今までは、朝おろして夜食べていたものだから、辛み成分がなくなって甘い大根おろしだった。だけど、おろしてすぐ食べないと、消化や美容に活きる成分が死んでしまうらしいと知り、食べる直前におろすという方法にシフトした。その結果が、これ。
「めちゃめちゃからいね」
それしか出てこなかった。それでも、痺れながら、のけぞりながら、腹に思いやりを流し込む。
おろしやすさと食べやすさは、今のところ同居しない。パンに移っても、ずっと大根おろしが攻めてきた。我々は今、新しいおろし器ではなく、新しい辛さと暮らしている。
6/11 (木) パンに移っても、ずっと大根おろしが攻めてきた。

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