小さい人と家を出発するまで、あと10分。それでも、私は大根をおろす。1/2本。少しかかとを上げ、真上からの圧を意識して、ずりずりずり。我が家の大根おろし器は、器なし、プラスチック製のねこモチーフのものを使っている。出番が少ないという理由で、家計に優しすぎるダイソー。
受け皿にボウルを召喚し、下に濡れたふきんを置いて、擦る。前半は楽勝すぎて、さあさあどんどんいくよ〜!と、湘南乃風のノリでタオルを振り回しているのだが、後半になると、急に静かになる。右腕が、右肩が、もう無理もう無理と、わめく。おろし器とボウルをいっぺんに支えている左腕も、キツイっすね〜と、白旗をあげる一歩手前。
ちょっと前に、ひーひーしながら擦っている姿を見て、大きい人が電動おろし器を勧めてくれたことがある。それはそれは楽ちんで、今すぐにでもお越しいただきたい気持ちだったのだけれど、片付けの手間に負けて、やめた。部品をいろいろ取り外して洗って、乾かして、元に戻す。シンプルではあるのだが、機械となると、この作業に手抜きが許されない気がしてあきらめた。便利を求めて、不便利を回収する勇気が出なかった。とはいえ、もし大根おろしを毎日食べるとなったら、さすがに改善の余地しかない状況だ。というのも、最近、何かの動画で、MEGUMIが毎日食べているものに大根おろしを紹介していたのだ。
今や、堂々美容オタクである、あのMEGUMIさまが言うのだから、食べない選択肢などない。どこどこのデパ地下にしか売っていないものとか、なんとかっていう島からしか取り寄せられないものとかならば、ひっそり姿をくらます。が、大根なんて、1年中食卓に先陣を切れる侍ではないか。やろうぞ、大根革命。
それにしても、最近、MEGUMIが我が家に降りてきている。夜のシートマスクも、MEGUMIが勧めていたから始めた。もともと敏感乾燥肌で、保湿パックはした方がいいだろうなと思いつつ、面倒が勝ってやれていなかった。だけど、MEGUMIの肌と、1,000以上の美容法を試してきたという探究心・向上心を見て、ついていくと決めた。コツコツが、ピカピカの肌をつくったのだ。昨夜は、大きい人に、「パックをそんなに綺麗に貼ってる人見たことない」と褒められ、またやる気を出した。凹凸甘めの、ぱんっと大きい丸顔だから、そもそも貼りやすい型なのだ。初めて平坦が、嬉しい。
大根は、きっちり擦りおろされ、冷蔵庫へと運ばれた。本当に仕込んだのは、たぶん大根おろしじゃない。未来の私への自信だった。
6/8 (月) 本当に仕込んだのは、たぶん大根おろしじゃない。

