小さい人は「眠い…」とぼやきながら起きて、のそのそ着替えながらしゃきっと目覚めて、昨日ポストに届いた「こどもちゃれんじ」のお試し教材を引っ張り出す。3分の2は一緒に取り組み、残りは明日やると張り切っていたのだけれど、朝からチャレンジするほどの気勢だったとは。指定された条件を満たしながらの迷路、5つの間違いを見つける間違い探しなど3つのワークをやりこなし、はなまるシールも貼って好スタートを切る。ただ、終えた物には興味関心の一切が消えるようで、「終わったからもう捨てるね!ありがとうございました、お世話になりました」とキッチンの可燃ごみへ達成感いっぱいに送り出す。循環させてるなあと感心しつつ、小学生になると次の学年でも使うから捨てずに保管しておきましょうみたいな教材もあるだろうから、「終えた物は即手放す」があまりに定着していると小さい人の規律が乱れそうだなとやや心配になる。これはちょこちょこ伝えていかねばなるまいな。
朝ごはんの後、リビングがしんとしているからそーっと覗いてみると、ノートを開き、その隣には石井ゆかりさん著書「2026年の星占い 獅子座」が並んでおり、どうやら漢字を書いているらしい。最近では大きい人々の本棚から気に入った本を拝借し、書きたいと思った漢字を書くというのが楽しいようで、「月」「日」「上」「下」などを書いては見せてくれる。今日は初めて「占」という漢字を書いていた。
洗面所で身支度をしていると、「ねーえ?心を持つAIは作れるのか?いや、そもそも人に心はあるのか?の絵本てどこにある?」と聞いてきて、出張中の大きい人がお供にしているかもしれないなとよぎると同時に、「あっこの前てぃのちゃんが真似して書いたやつ、むっくの部屋に貼ってあるからそれ見てくる!」と駆け出す。休日に何やら2人で、「心を持つAIは作れるのか?いや、そもそも人に心はあるのか?」という、前野隆司さんの著書について話に花を咲かせており、感に堪えなくなった小さい人はタイトルを書き綴ったようで、それを見てまた大きい人が感に堪えなくなってデスクの壁に貼ったのだ。ちょっと前までは脳内「食のみ」の人間だったのだけれど、いつの間にか感心は「心」や「AI」にまで及んでいて、「心はあるよ!」というのが小さい人の見解だ。うん、私もあると思うよ、心。
しばらく静かだったが突然か細い鳴き声が聞こえてきて、「うまく書けないぃ…」と涙目の小さい人がノートを見せてくれる。「心」を書きたかったようなのだが確かに、他の字との間隔が狭すぎて心には見えない字がうにょうにょっとしている。「まいたけちゃんに漢字書けたの見せたかった…」と悲痛に嘆くから、「もっと時間ある時に落ち着いて書いたらうまく書けるよ!また見して見して〜」と励まし、涙を拭いて社会へ向かう。
今日は2月にある小さき人々の生活発表会について打ち合わせがあるから、一旦帰宅してまたすぐ戻る。大ホールを借りて行う1年の集大成的行事であるこの発表会、主役だけでなく先生方も育てる人々もみんなみんな熱を上げて準備するのだけれど、今回はなんと第100回目ということで血潮の勢いが違う。我が家の小さい人も、先日「発表会の役が決まったよー1」と早々に燃え盛り、昨年はかわいいダンスを見せてくれ感動と笑いをどばどば流し込んでくれたが、今年は劇ということだから個としての存在が際立つしますます成長を感じられるに違いない。年中組はどうやら「劇・100かいだてのいえ」と「舞踊劇・さるかにがっせん」に分かれているようで、小さい人は劇の方でことり役だ。配役表に堂々と名前が連なっており、それだけでも震えるものがある。学年全体で歌や合奏もあるというのだから、昨年同様めいっぱい感慨深い時間が流れるだろう。打ち合わせの冒頭は園長先生や主任の先生の有難いお話を聞き、最後、担任の先生から当日の衣装やスケジュールについてのお話があった。小さき人々の練習の様子も交えて話してくださったのだが、年中組はとにかく真面目な学年で、真面目すぎて笑顔が出ないくらいみんな真剣に頑張っていると、本当に心配になるくらいですと胸がいっぱいの様子だった。ある時は、動かなきゃいけないタイミングで立ち尽くしているお友だちに5人くらいの子が駆け寄って「こっちだよ」と手を引いてあげたという場面があり、「本番では駆け寄らないでちょっと待っててあげてねー!っていうところではあるんだけれど、保育者が行かなくてもそうやって助けてあげなきゃって自分たちで動けることってすごく大事だなと、すごく成長を感じています」と熱く語ってくださった。先生方が一生懸命向き合って取り組んでくれていること、そしてこの年齢の子たちなりのひたむきさで頑張っていることが伝わってきて、なんだかもうずっとぐすぐすする。予防のためのマスクがハンカチ代わりとなってくれて助かった。本番は感涙専用タオルを絶対持って行こう。分厚いやつ。
打ち合わせを終え帰宅して、ゆでたまごを6こ作った。大抵1こか2こはうまく剥けずにぼこぼこになるのだけれど、今日は全部うまく行った。胸がいっぱいだから食事らしい食事はせず、ゆでたまごと豆を食べて、図らずも静かなタンパク質ランチとなった。
小さい人を社会へ迎えに行き、今日の打ち合わせでてぃのちゃんの役が完璧にわかったと話すと「わかったー!?てぃのちゃんことりだよ」と嬉しそう。帰ってお風呂に入りながらも発表会の話は続き、自分の演目ではないさるかにがっせんの方についてなぜだか熱弁してくれる。「みんなのために今手ぶくろ用意してる。この子は何のメンバーかなーってわかるように。楽しそうだから手ぶくろ用意するわけじゃないよ。かにだよーさるだよーはちだよーうすだよーってわかるようにするために用意してるんだよ」と、手ぶくろ着用の意図説明があまりに表彰レベルでシャワーを持つ手が震えた。
夜は小さい人が好きな厚揚げのきなこあえを作ってメインがおやつみたいになったけれど、「甘い!おいしい!」を唱和して大事に食べ切った。私は豆ももりもり食べた。
寝る前、そういえば私は昼も夜も豆ばっかりだったなと、誠実さが抜きん出た食事にじわじわ満足してそのまま寝た。

