小さい人と社会へ向かっている途中。突然、不思議な光景が目に飛び込む。
信号待ちをしていると、シューン…と、ママチャリが斜め前に止まった。目が合ったのは、後ろのチャイルドシートに乗った女の子。5歳くらいだろうか。失礼ながら、表情がもう、面白い。芸人味のある、勝手に記憶に入り込んでくるタイプだ。にんまりと微笑み、今すぐにでもボケてきそうな雰囲気がある。
その女の子の目から視線を移すと、両手に、ソフトクリームのコーンの部分だけを持っている。右手に3こ重ね、左手にも3こ重ね。コーンの先を下にして、逆さまのクリスマスツリーみたいになっていた。どうやら左手の方のコーンをむっちゃむっちゃしたようで、上のところがちょっと溶けて、かわいくいびつになっていた。
我々の驚き微笑む表情が嬉しかったのか、満足そうな顔と目が合う。左手のコーンをかじりながら、そのまま青信号で進んでいった。
小さい人も私も、「朝」「両手にコーン」「3段重ね」のあまりのインパクトに、しばし思考がぐるぐるして黙った。朝ごはん代わりにコーンを食べる、はまだあるかもしれないけれど、なぜ、3段にしていたのか。両手に持つにしても、せめて1こずつではないか?袋から出したら3こがくっついてしまっていて、でも時間もないしそのまま連れて行こうとなったのだろうか。
「え、でも両手に持ちたいよー」
そう口を尖らせる子を前に、3段重ね二刀流の秘技を繰り出したお母さんだとしたら、かっこよすぎてくらっとする。もったいないだの恥ずかしいだの、私だったら言い訳をして、今年分のクリスマスツリーしか連れて行かなかったと思う。
お母さんの急ぎっぷりからして、保育園に送る途中とか、病院に向かう途中の雰囲気だったけれど、結局、食べ切れたのだろうか。コーンの結末と、女の子の素性が気になって、しばらく上の空だった。
7/29 (水) 今年分のクリスマスツリーしか連れて行かなかったと思う。

