3/29 (日) 3泊4日の長野旅行記4日目。長野はきっと、ずっとここにいる。

日記

6時半、起床。最終日の朝は時間があるから、「6時半で全然間に合うよね」と、大きい人と「ちょっとお寝坊できる幸せ」を抱いて眠った。その幸せが、そのまま転がっている朝。
長野の空気の中で元気いっぱい朝活をやり終え、旅を畳む準備に入る。キャリーケースに荷物を詰め始めると、「今日、本当に広島に帰るのだな」と、まんまと残れたかもしれない未来がいよいよ背中を向けてきて、うつむく。本当に楽しかったんだ…と、遠くから自分を眺め、静かに慰めた。また来よう、必ず。小さい人はというと、昨日めいちゃんからもらったお菓子セットを1つ1つ広げ、「いつ食べようかなあ〜」と甘い未来にでれでれしていた。
文字通りの「指差し確認」をして、部屋を出る。
さて、長野駅でお土産調達。旅行中、駅巡りにまあまあ時間を使い、ちょこちょこ買い溜めてはいたけれど、最終日は誰に何と言われようとも、買う。昨日の夕飯のそばがしれっと胃を支配していたから、まずは生いちご&りんごジュース、バナナミルクジュースで浄化。「まいたけちゃん良い提案!」と、大小の人々はにこにこ讃えてくれて嬉しい。もう顔見知りの土産物屋に乗り込み、大きい人は実家用におしゃれクッキーを選ぶ。善光寺仲見世通りで食べたあの味に、心を決めていたらしい。自宅用には、七味唐からしえびせんべいと、シャインマスカットグミ。広島に戻っても、信州の余韻を貪る気満々。
改札を越え、駅弁とサンドイッチと、4時間に屈しないおやつを確保し、10時46分、乗り込む。ひと通り整えると、大きい人は旅の疲れで早々に眠りに落ち、小さい人は「また寝てるー」と業を煮やした。「ねえ、これって瞑想じゃないよね?」と目を細めるから、「瞑想ではないね」と、睡眠欲の塊を横目に、キッズ向けお仕事ゲームで盛り上がる。
そうこうしていたら東京駅。乗り換えが30分しかないから長野駅でお昼ごはんを買ったのに、旅の雰囲気に飲まれてしっかり行進する。おいしそうなカレーパンや甘味を買い、また新幹線に乗り込んだ。
ひと息つく間もなしに、駅弁開封。いろいろ食べたい!と、女子は幕の内弁当にしたのだが、その「いろいろ」が、OLの弁当のおかず並みにちょぴっとで、食欲モンスターズの満足には遠すぎる。なんせもう、13時だしな。だけど、「こんな品数作るの大変だよね。有難いね」と、積極的に作り手への感謝を述べ合い、気持ちを相殺する。えびとブロッコリーのサンドイッチを頬張り、カレーパンにかぶりつき、20分ほどで平らげた。
さて、ここから3時間半。どうするか。ひとまずちいかわの漫画を引っ張り出し、それぞれのキャラになり切って読み進めると、小さい人の表情に疲れは見られるが、真剣に、時折ぎゃはーと笑ってくれてやる気になる。が、「疲れた。もう大丈夫」と急に解任されたから、意地になってもう少し読んだ。春休み中の日曜日とはいえ、全体的に空いており、名古屋でどっと乗って以降穏やかな車内。通路を挟んで2席の方だったから、小さい人は大きい人々の膝の上で仰向けに伸びる。「寝不足だから寝ていいよ〜」と勧めるも、ちっとも寝る気配がないから、デッキに出て窓の外を眺める。「遠いところはゆっくりなのに、近いところはめっちゃ速い」と、遠近の違いを楽しんでいると、10秒くらい経って、「ほんとだー!」と、小さい人は意味がわかったらしい。つぶやきですら瞬時に拾い、ぽんぽんキャッチボールをするタイプだけれど、こうやってじっと思考することもある。その思考の顔がかわいいから、いつも盗み見てしまうのだが、今回は見逃した。
おやつの時間になり、しょっぱいものが欲しくなって、お土産の七味唐からしえびせんべいと、シャインマスカットグミを召喚。買う時は、家で「お土産感」を出しながら食べるつもりだったのに、まるでチーたらのようにがさつに開けており、自分のおやつ欲がうとましい。年輪を重ねた人々にもおすそ分けしようと、どうにか半分残し、4時間を乗り切った。
あんなに帰りたくないと思っていたはずなのに、ホームの風を吸うと、「帰ってこられた」と安心に浸る自分がいる。旅行の本当の良さは、日常が日常として輝いていたことに、全身で、じわっと気付けることだと思う。
広島駅の改札を出るなり、小さい人は「もみじ饅頭が食べたい」と、広島愛をぼーぼーに燃やす。立ち飲みスタンドで大きい人々はレモンサワーを頼み、もみじを求めて私は小さい人とスーパーに行く。お腹はそこまで空いていないのに、見たら不思議と手が伸びて、つぶあんもみじと一緒に、桜もちもみじもカゴへ。レジに並んでいると、ぱっと、「長野県産シャインマスカットゼリー」が目に入る。遠くても、つながってるな。大きい人が焼き鳥も調達してくれて、「長野良かったね〜!最高だ最高だ」と盛り上がる。小さい人は、「広島も負けてないよ!」と、地元愛を前面に出し、長野に傾きかけた気持ちを見事に引き戻してくる。広島も好き。でも本当に、大好きになったよ、長野。
さて、18時〜20時でトイレ修理隊が来てくれるから、17時半過ぎに店仕舞いして、タクシーに乗り込む。旅の前夜に突然職務を放棄したレバーは、果たして直るのだろうか。そして、大丈夫か異臭。
帰ると同時に、来訪。開く気配がなかったタンクのフタは、お重のフタを開けるようにスッと開かれ、切れていたチェーンは、鍵をカチャっと回すくらいの手際で直された。しっかり存在感を放っていた異臭には、まるで無関心を貫き通し、プロの覚悟と誠実さを見せつけられた私は、ひれ伏したくなる。それより何より、いつでも用を足せるという安心感。「良かったね良かったね」と、家族で胸のつっかえを外した。
ひと通り片付けを済ませると、小さい人は、赤ちゃんの頃から相棒にしていたおくるみのタオル、「パオちゃん」とバイバイすると言う。少し前から、長野が終わったら別れるのだと話してくれていたが、まさか、本当に。眠い時にこねこねしたり、不安な時にくんくんして、愛しすぎて破れて、どんどん小さくなって、今ではふきんくらい小さくなったパオちゃん。「むっく!まいたけちゃん!パオちゃんにバイバイするから集まって!」と、大きい人々は招集がかかったキッチンに向かう。小さい人は足でゴミ箱を開き、「パオちゃん、バイバイ。ありがとう」と、何度もお礼を伝え、そっと、丁寧に手を離す。けれど、フタが閉められない。見つめたまま、時間が止まる。大きい人々も、小さい背中を見つめながら息をのむ。そして、とうとう、閉めた。かと思ったら、大きな声で泣き出した。きっと、年長組になる覚悟の証を残そうと、無理をしていたんだな。「そりゃあつらいだろうよ〜」とむぎゅっとし、「ほんとにいいの?」と聞くと、ぐしゃぐしゃの顔を震わせながら、こくんとうなずく。
一旦家事に戻ってから様子を伺うと、まだぐすぐすとしており、「いいの?ほんとにいいの?今ならまだ拾えるよ。ゴミ収集に出しちゃったらもう戻ってこれないよ」と、ファイナルアンサーを問う。すると、「もうちょっと小さくなるまで一緒にいるぅぅぅ…」とぽろぽろするから、一緒に救い出して、感動の再会。うん、これでよかった。
夜、旅の反省会は、長野でひとくちぼれした、あの白ワインで。長野はきっと、ずっとここにいる。

まいたけ

長野旅行記、完結です…!

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この記事を書いた人

改善愛好家が、気付きや学びをもとに"より善く生きるコツ"を綴っています。
可笑しみのある人を目指しながら、未完成で進行中。

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