2/7 (土) 泣いて意気込んで契って忙しい。

日記

4時43分に目が覚め、なんだか大作な夢を2本見たなーと断片的に思い出し、またひと眠りしてがばっと5時5分に起きる。土曜日なのにいつもより45分も早く起きたのは、小さい人の晴れ舞台、1年の頑張りを総ざらいする行事「生活発表会」が本日9時半より開演だからだ。1番の主役はもちろん年長組なのだが、年少年中組も1年分の成長を全部持って殴り込んでくる特別な舞台なのである。小さい人の年中組は、「劇・100かいだてのいえ」と「舞踊劇・さるかにがっせん」に分かれ、小さい人は劇の方でことり役を演じる。学年全体の合唱や合奏もあるから、出演する演目で言うと2つ。どちらもカメラと心に納めなければと、大きい人々は気合いに燃える。
「発表会だー」とやや緊張を含む声で小さい人も起き出し一緒にリビングへ向かうと、隣の和室はもう綺麗に片付いており相方の大きい人の姿もない。書斎か?コンビニか?と考えていたらバーン!と洗面所から出てきて、「むっくも張り切ってますよ~!」と俄然陽気だ。昨夜相方の大きい人は、「22時には布団に入ろ。てぃのちゃんの晴れ舞台やけんね」と張り切って寝、おかげでバシッと早起きもできて、全てが上手くいっている人の挙動が前のめりすぎる。小さい人は着替えながら、「かきーを取ってと頼んだら〜、かきーをぶつけて逃げてったー」と、自分が出ない方の演目の劇中歌を歌ってくれ、「えっさる柿ぶつけたん?かにかわいそう〜」と反応すると、「そうだよ。…えっ…?待って、今日が本番?発表会?」とまるっきり謎のひょうきんさをぶつけてきて思わず笑う。「緊張してる?」と聞くと、「うーん、それよりもまいたけちゃんに会えなくなるから寂しい…」と泣きそうな顔をするから、「会えないのはちょっとの時間だから大丈夫だよ!」と元気付ける。受信感度が手加減なしに強い。劇はプログラム2番で、会場に着いたらすぐ集合になるから衣装は全部着て、8時半すぎにタクシーに乗り込む。
着くと入り口に行列ができており、9時の開場を待って寒空の中みんな和気あいあいと待ち時間を過ごしていた。その空気にしれっと紛れ込む。
いよいよ開場。小さい人のステージでの立ち位置に合わせ、向かって右側に席を取り、同じ演目に出るそよちゃん (仮です) を見つけたから一緒に集合場所へ向かう。途中、満3歳児クラスの時の先生が今育休中なのだけれど観に来てくれたようで会えて、小さき者たちは「観に来てくれたのー?!」と飛びつく。「来るよ~~」「えっ赤ちゃんは!?」「パパとお家でお留守番してるよ」と微笑ましい会話をして写真を撮って、「頑張るね」とお姉さんの顔で勇ましく駆け出した。大ホールに戻りがてらそよちゃんのお母さんから、「8時に来た時点でもう並んでいる人がいた」と聞いて、正真正銘の気迫に気圧される。
さてとうとう開演となり、相方の大きい人に動画撮影をお願いしてあっという間に100かいだてのいえが始まる。予習のために絵本を読んだところ、ある日トチくんのもとへクモさんから、「100かいだてのいえの100かいに遊びに来てね」と手紙が届くのだけれど、階段を登るごとにさまざまな動物や虫に出会い、仲良くなりながら100かいに住むクモさんへ辿り着くというお話だ。小さい人演じることりたちは、劇開始後すぐに出番となった。颯爽と、それは堂々とした歩みに感心していると、小さい人は立ち位置についてすぐに「遠くを見て探すポーズ」をし出し、「そういう芝居なのだな」と思って見ていると、他のことりはしゃんと立っていてどうやら芝居ではないらしい。もしや、私と相方の大きい人を探しているのではあるまいな…?ちょっと何かが起こりそうな雰囲気に潔く戸惑い、気をそぞろにせず頑張ってくれ〜!と緊張がとめどない。しかしお話はずんずん進んでいき、音楽に合わせてもはや1人舞台のようにぶんぶん踊りまくり、何度も練習していたセリフも落ち着いて言えてスタンディングオベーションしたいような気持ちになる。マイクというのは口が近くにないと声を拾ってくれないから、マイクの前に立ったらピタッと止まり、きっちり言い終わってからはけるというのは教えていたのだけれど、絵に描いたように忠実でさすが手本の王者獅子座である。何事もなく舞台袖へと帰っていったからほっと息をついていると、最後にみんなが集結してきらきら星を歌い踊り始めたから姿勢を正す。なんだか小さい人自身は役目を終えたような雰囲気でリラックスしており、どうもぼんやり客席を見回して振り付けもぼんやりとしていて大丈夫か大丈夫かと思っていると、段から降りられなかった隣の子に気付き、手を取って一緒に降りてあげていたから胸がいっぱいになる。そういうところ、好きだぜ。感動に顔を濡らしているとフィナーレを迎え幕が降り始めた。拍手が鳴る中、小さい人は幕が降り切る手前で我々大きい人を見つけたのか、サッと体をねじ込むようにしゃがみ手を振ってそのまま幕がそっと降りた。幕にも屈しない精神の持ち主、というコントを見せられているような気持ちになって、笑いと意外が入り組み微妙な顔で隣を見ると、相方の大きい人も微妙な顔でこっちを見ていて2人で笑う。だって、あの、風紀を重んじ、かっこ悪いところなど見せられぬ王者獅子座だ。バチっとやり切るより家族探しに熱心になるなど誰が予想できただろうか。「なんかもう最高だね」と、私は一旦小さい王者を迎えに行き、「まいたけちゃんっ!!!」と手を振る小さい人に「頑張ったね!!かっこよかった!」とわしゃわしゃ愛でる。
次はプログラム8番の合唱・合奏に向け制服に着替えて、小さい人に「舞台に出た瞬間から終わるまでみんな見てるから、待つ時は気をつけで、手も振らないようにしようか」と伝えると、「うんわかった」とうなずき、「まいたけちゃんたちも手振らないでよ?」と、やれやれ頼みますからねみたいな雰囲気で注意してくるからやっぱり王者だ。あれこれ言わない方がいいとは思ったのだけれど、劇とは違っていかにじっとして歌い、演奏できるかが作品としての出来栄えを左右する。これはやはり伝えておかねば。
いよいよ幕が上がり、みんなしゃきっと立って「世界中のこどもたちが」を歌い、集中して「ジェンカ」も演奏、小さい人も本当によく頑張った。よかったよかったと思っていたのも束の間、幕が小さい人の顔辺りまできたところで本日2度目の屈しないコントをやってくれた。それはもう、衝動を抑えられぬような動きで、相方の大きい人と笑った。
全プログラムが終了し控え室に迎えに行くと、やり切った顔で帰ってきて、「よく頑張った!かっこよかったよ」と労うと「おなかすいた〜〜」と嬉しそう。発表会が終わったらマックが食べたいとリクエストを受けていたからすぐ帰ってチーズバーガーを頬張り、「楽しかった?」と聞くと、「楽しかったっていうか、まいたけちゃんに会えなくて寂しかった」と、感情の配分が堂々まいたけに全振り。「緊張した?」「緊張した」「どの時が1番緊張した?」「マイクでしゃべる前」「確かに、みんながてぃのちゃんのこと見てる瞬間だもんね。でもてぃのちゃんの方からお客さんの方見えなかったでしょ?」「うん見えない。でもまいたけちゃんたちのことは探した」と、やっぱり探してたんだね。
夜、どうにも不思議さが明るくおびただしくて、ChatGPTに尋ねる。ベースがとにかくしっかり者で、周りをよく見て動く風紀委員タイプの小さい人なのだけれど、発表会の舞台では「ひとり舞台」気味で、振り付けより親を探して手を振るという珍行動も見せてくれたのだが、気質も含めどういうことなのか見解を聞かせてほしい。私としては、人前で何かを発表するということの意味があまりよくわかっていないことが原因なのではないかと思っていて、ただ総じて、「家族が大好きすぎる」ということだと思っているがどうだろうか…?すると、1つ1つクリアに説明してくれる。
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・年中さんはまだ、自分が「作品の一部」という理解が途中
・ただ、マイクの使い方やセリフを覚えるなどのルール理解と遂行能力はかなり高い
・が同時に、視界に「大好きな人」が入ると感情が一気に動き、優先順位が一瞬で入れ替わる
・実は日常で秩序を守る子、周りをよく見て気付く子ほど舞台では自由になりがち
・理由は、いつも先生や友だち、いわゆる「外」を見ている子が、初めて「自分に集中していい場」に立つと感情を抑えなくていいから噴き出してしまう
・その結果が、親探しや、しゃがんでまで手を振るという行動につながった
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要するに、ほぼ確信寄りで家族が大好きですという話だったから、相方の大きい人と愛おしさに溢れぼろぼろ泣いた。決して未熟ということではなく、安心基地が明確だからこそ遠慮なく気持ちを飛ばせ、特に小さい人は頑張る意味を誰かに届けたいタイプだから、「見てる?」「できたよ」を最短距離で我々に投げてくれたようだ。それがたまたま、舞台という「全体優先の場」だったというだけで、いたって小さい人らしい発表であったし、今後、「舞台の上ではお客さん全員に見せる“役の顔”をするんだよ」と、役割の切り替えとして伝えられれば、もう舞台上で親を探さず、でも終わった瞬間に解放から満面の笑みになるだろうとのことで、大きい人の役割が重要だ。
何にしても、日々愛を手加減なくぶつけてきてくれる小さい人に、我々もちゃんと応え、それ以上に伝えていかねばなるまいなと、泣いて意気込んで契って忙しい。ぐずぐずのまま、でも晴れやかに眠った。

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この記事を書いた人

改善愛好家が、気付きや学びをもとに"より善く生きるコツ"を綴っています。
可笑しみのある人を目指しながら、未完成で進行中。

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