軸を太く、強く。

根がしっかりした木

最近、ぐっと掴まれてしまった一節。

生きることは苦しい。だからこれ以上の悲しみや苦しみを描き出すことはしない。
人生の川の中でもがきながらも善くあろうとする人間の姿を描いてなにがいけないのだ、そう思う。
それをなるべくさらりと書いて、でも読んだ人の心を変えてしまうほどの深みを持ち、そのことを決して自分の手柄にはしない。そうありたい。

人生の道しるべ / 宮本輝,吉本ばなな

この一節は、本の中でばななさんが言っているものだ。


生きることに真正面から向き合う強さと潔さ、人間をとことん理解する深さと優しさ。
そして、この世の深くを知っていても、それをひけらかさず、そっと差し出す気取らないあり方。

書きたいものを書くためじゃなくて、ありたい自分であるために書く。そういう生き方って素敵だ。


ばななさんのその言葉に、私はふと思った。
あ、これってすまし汁なんじゃないだろうか…?

昆布や鰹節でとっただし汁に、醤油や塩で味付けをした、澄んでいて、透明なあのすまし汁だ。

お味噌汁とか豚汁みたいに、食欲をそそられる雰囲気もなければ、存在感も薄い。
栄養を摂るためとも、身体を温めるためとも言えないような、ただそこに悠然と佇む無色透明な存在。

だけどその透明感が、水を飲むのと同じように、抵抗なく、すんなりと飲ませてくれる。
実際飲んでみたら、その透き通る見た目からは想像できないような濃ゆさがあって、喉から下へ下へゆっくりと、じんわり、ずっしり染み渡る。


飾らない実力派。ばななさんはすまし汁だ。


私はというと、まだまだちっとも知れていなくて、魂も未熟で、なのにあれこれ詰め込んで、おいしいですよ〜〜と必死に飾っている。
いや、未熟だからこそ、具沢山もりもり豚汁になってしまうのだ。
自信がないから多くを語ってしまうのだ。


ばななさんは、私がありたい私について考える時間をくれた。
そのために、行動を変えるきっかけをくれた。

素敵な出会いをくれる本というものは、やっぱり宝物だ。

どっしりと太く、強い軸をつくっていこうと思う。

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この記事を書いた人

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