今日は、2学期始業式。小さい人の夏休みが、終わった。8月中もお盆期間以外は登園したし、周りもほとんどの子が普通に通っていたから、小学生みたいな、「めちゃめちゃ久しぶりだねー!」は、ない。でも、制服だけは久しぶりで、小さい人は朝の着替え中、「うん。お姉さんって感じ」と、ふつふつ胸を躍らせていた。
家を出て、信号待ち。
「今日はホールで園長先生のお話聞く日だね〜」と、意気軒昂におしゃべり。青になったので、並んで歩き出す。
すると、突然。
「早く行けよおらぁっ!人の前にいるんじゃねえっ!」
心臓が跳ね上がる怒号が、すぐ隣を過ぎていく。振り返ってその対象を捕らえると、どうやら自転車の高年男性が、自分の前を走る自転車の中年男性に怒鳴っているらしい。横断歩道を渡り終え、次の信号待ちでも、その高年男性は中年男性にずりずりと近寄り、文句を言い続けていた。中年男性は巻き込まれまいと、静かに首を振り、大人の対応をしていた。
どっからどう見ても、高年男性の言動がおかしい。横断歩道は幅広で、十分、その男性をすーっと抜かして行けたはずだ。歩行者のことを加味しても、できなくなかった。いや、そもそも、「自分の道を塞ぐな」という主張が、あまりに身勝手ではなかろうか。急いでいたのかもしれないけれど、怒号をあげねば居ても立っても居られないというのは、童心が立派すぎやしないか。こう言っては失礼なのだが、高年男性は、ほぼパジャマのような格好で、頭もボサボサ。サンダルにママチャリという、通勤ではない雰囲気がぷんぷんだった。それに比べ中年男性の方は、ワイシャツにスラックス、背中にはスマートなビジネスリュック。マウンテンバイクに乗っていた。どちらかと言えば、急ぎたいのは中年男性の方ではなかったか…?何にしても、普通に、自分のペースで自転車を漕ぎ出したところ、後ろから雷のような怒鳴り声を浴びせられ、内心ぶったまげただろう。大人の世界だって、今日から気持ち新たに、というタイミングなのに、巻き込まれ方が派手に地獄だ。
小さい人と、「あんなに怒ること!?こーわーいーよー。怒鳴られた人、かわいそうだね」と話しながら、社会へ着いた。
帰宅して、大きい人に一部始終を話す。すると、「自分がそんな場面に遭遇したら、言い返しちゃうかもしれないなあー」と、真面目に頭を抱える。確かに、そのくらいのケンカの売り方ではあった。
「でもさ、言い返したら、ここぞとばかりにもっと言ってくるよね」
火に油状態を心配すると、「よし、シミュレーションしとこ」と、少し間がある。
「…そんなに急いでどちらへ?」
こういう決め台詞を考えさせたら、この人の右に出る者はいない。噴火状態の人に対して、冷静に、でも丁寧に皮肉を含んで。想像して、腹を抱える。
「なんか、コラーおじさんがかわいく見えてきた」
昔、家族3人で歩いていると、つっかけにママチャリという高年男性が前からふらふらとやってきた。すると、端っこに寄ろうとしなかった小さい人に向かって、その男性は野太い声で、「ごらぁぁぁ!」と威嚇し、そのまま去って行った。小さい人は割とけろっとしており、「びっくりしたねー!」と他人事のようだったのだけれど、私は突然のことに泣きそうなくらいだった。小さい人の手をサッと引っ張っていたら、こんな思いはしなかっただろうが、もう、遅かった。
痛烈な出来事として、我が家の記憶に残った。でも、身勝手さのレベルで言えば、やっぱり早く行けよおじさんの方が、強い。歴史が、塗り変わった。
9/1 (火) 早く行けよおじさん。

