8/26 (水) いちごでも、ケーキ屋さんでも、なかった。

日記

小さい人の社会では、毎月、全学年合同でお誕生会がある。今日が、8月生まれの会だ。最高学年の小さい人は、これが本当に最後のお祝いになる。私の方もしっかり緊張を飼い、一眼レフを持っていくかどうかで、朝からおろおろしていた。
入園して最初のお誕生会の時は、夏休み中なのに…?と首を傾げたのだが、8月は、お盆期間以外は「夏季保育」として通常と同じように通う。9時〜14時は普段通り、無償で保育をする制度の園で、ちゃんと給食も出る。もちろん、夏季保育期間の出席は自由。帰省や旅行がある家族はまるまる夏休みだったりもするが、給食費のみで預かってくれるなんてスター状態、なかなかない。だから、8月だろうとほとんどの子どもが普通に登園し、お誕生会も普通に開催される。ちゃんと、みんなにお祝いしてもらえる。
それで、今日。主役たちは、みんなの前に並び、メダルや冠をつけて、先生からインタビューを受ける。年少組は、お名前を聞かれ、年中組は、お名前と、好きな食べ物を聞かれる。年長組になると、さらに1こ増え、将来なりたいものについて聞かれる。
小さい人は去年、好きな食べ物はいちごだと答えていた。家で話してくれた時は、断トツに好きな「おいも」に心を決めていたようだったけれど、周りを見て倣ったらしい。このくらいの年齢の女の子は、「かわいい物」に真剣になり、「かわいく見せたい」に敏感になる。「本当に」好きな食べ物を答える場ではなさそうだと、小さい人は解釈したのだろう。
私は、どちらかというと、周りと違う物を答えるような子どもだった。感覚が人と違うな、みたいな自覚があったのもあるし、目立ちたい、埋もれたくないみたいな気持ちがたぶん強くて、むしろ人とかぶらないように選んできた記憶がある。平和に、馴染むことを大事にする小さい人には、おいもじゃなく、いちごだったのかもしれない。
さて、今年はどうか。家では、好きな食べ物はカレー、将来の夢はクリーニング屋さんにすると、話してくれた。またいちごだろうなと思っていただけに、「お!カレー!?」と、意外がる。「かわいい」からはたぶん、水星と土星くらいかけ離れた物だと思うけれど、そうか。己をさらけ出す覚悟が、できたのか。
将来の夢の方は、前に、アイロンがけが上手だと褒めたら、これを仕事にするにはどうすればいいのかと聞かれたので、「クリーニング屋さんかなあ」と答えたことがある。でも、小さい人は、長らく「救急車になる」とか、七夕の短冊には「ひーろーになりたい」とか、救うことにまっすぐだった。いいのか。本当に。でも、なにしろ小さい人は、「大人になっても、死ぬまで3人で暮らしたい」という気持ちが惑星級だ。土台に、家族という現実がぎゅうぎゅうに敷き詰められている。これこそ、「らしい」のかもしれない。
年少組から順番に、インタビューが始まる。小さい人はやや恥ずかしいのか、くねくねと落ち着かない様子。でも、楽しみな気持ちも、滲み出ている。
いよいよ。動画を回す。
「好きな食べ物はなんですか?」
「…カレーです」
「大きくなったら何になりたいですか?」
「クリーニング屋さんです」
現実味がある夢に、大人たちの「おぉ…!」という声が響いた。いちごでも、ケーキ屋さんでも、なかった。小さい人はしっかり、自分の足で立っていた。

プリーズ シェア!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

改善愛好家が、気付きや学びをもとに"より善く生きるコツ"を綴っています。
可笑しみのある人を目指しながら、未完成で進行中。

もくじ